『おかだFP社労士事務所だより』バックナンバー
2024年8月号
1.メンタルヘルス不調で1ヶ月以上の休業・退職した従業員がいる企業割合は10.4%
先日、厚生労働省から「令和5年労働安全衛生調査(実態調査)」の結果が公表されました。この調査は、労働災害防止計画の重点施策を策定するための基礎資料および労働安全衛生行政運営の推進に資することを目的として、周期的にテーマを変えて調査が行われているものです。今回の調査における事業所に対する項目は、労働安全衛生、労働災害防止活動及びそこで働く労働者の仕事や職業生活における不安やストレス、受動喫煙等の実態となっていますが、以下ではメンタルヘルスに関する事項を確認しておきます。
(1)メンタルヘルス不調による休業者等
過去1年間(2022年11月1日から2023年10月31日)にメンタルヘルス不調により連続1ヶ月以上休業した労働者または退職した労働者がいた事業所の割合は13.5%(前年調査13.3%)となっています。このうち、連続1ヶ月以上休業した労働者がいた事業所の割合は10.4%(前年調査10.6%)、退職した労働者がいた事業所の割合は6.4%(前年調査5.9%)でした。
(2)メンタルヘルス対策への取組状況
メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は63.8%(前年調査63.4%)となっており、これを事業所規模別にみてみると以下のようになっています。
1,000人以上 100.0%
500~999人 99.5%
300~499人 99.8%
100~299人 96.6%
50人~99人 87.4%
30~49人 71.8%
10~29人 56.6%
現状として、メンタルヘルス不調による休業者の割合が前年より減っているものの、企業としては継続的に対策を講じていく必要があります。
2.厚生労働省、8割の事業場で労基法違反。1万1610事業場で違法残業
厚生労働省では、7月25日に令和5年度に長時間労働が疑われる事業場に対して労働基準監督署が実施した監督指導の結果を公表した。主な内容は以下のとおり。
①労働基準関係法令違反があった事業場:監督指導を実施した2万6117事業場のうち、2万1201事業所で労基法違反を確認。対象事業場の81.2%を占める
②①の事業場のうち違法な時間外労働があった事業場:1万1610事業場で、対象事業場の44.5%に当たる
③②の事業場において時間外・休日労働が最長の者:1カ月当たり80時間超が5675事業場(違法な時間外労働があった事業場のうち48.9%)、100時間超が3417事業場(同29.4%)で、合わせて8割弱に達する
④健康障害防止に関する指導状況:1万2944事業場に対して長時間労働を行った労働者に対する医師による面接指導等の過重労働による健康障害防止措置を講じるよう指導
厚生労働省HP https://www.mhlw.go.jp/content/11202000/001278556.pdf